シェアリングエコノミー編
ここからは、シェアリングエコノミーを見ていこう。「訪日外国人数3000万人」が目前となり、20年の東京五輪を控えて注目されるのが民泊である。
大手ビジネスホテル経営者に取材した際、次のような話も聞いた。
「民泊が盛り上がった背景には、既存事業への不満もあった。たとえばアジア系の訪日外国人には、8人や10人といった大家族で来日されて、同じ部屋で過ごしたい方もいます。当ホテルの従来型の部屋では、そうした需要に対応できなかったのです」
そう考えると、一軒家を民泊に貸し出す手法は有望だ。ただし法の規制も強化された。
民泊よりもルームシェア
18年6月15日、「住宅宿泊事業法」(民泊新法)が施行された。無許可・無届けの違法民泊排除も目指しており、マンションの一室を利用した民泊はたいへんやりにくくなった。
新法の施行直前の18年6月上旬、民泊サイト最大手「Airbnb(エアビーアンドビー)」は、民泊新法の届け出や旅館業法の許可を得ていない物件の掲載を取りやめたという。そして巨大観光地の京都市は、住居専用地域での民泊事業を年間60日、観光閑散期の1月と2月に限定するという厳しい“上乗せ規制”を打ち出した。
そのため副業としての民泊には消極的な浦田氏だが、次の提言をする。
「民泊新法では『家主不在型』の場合は専門の会社に管理業務を委託しなければなりませんが、不動産仲介大手のなかには管理の請負だけではなく民泊ホストの代行を始める会社も出てきました。アパートや一戸建てのオーナーから物件を賃借し、同社がホストとなって民泊向けに貸し出すのです。民泊を始めたければ、こうした会社を利用するという手もあります」
こうした将来性の半面、会社によってはリフォーム用の内装一式費用を求める場合もあり、それに応じれば新たな投資も発生する。そもそも「管理費が割高(売り上げの30%)など条件はよくない」「英語の利用マニュアルを整えるなど、語学対応に時間がかかる」ことも、浦田氏が難色を示す理由だ。
「それよりもお勧めなのがルームシェアです」と力説する浦田氏は、次のように続ける。
「たとえば3LDKのマンションを購入して、余った部屋を月額で貸し出すのです。知人夫妻は3LDKの1部屋に住み、残りの2部屋を各5万円で貸し出しました。こうすれば購入物件を取得した場合、背負った住宅ローンのかなりの額が家賃収入で軽減されます」