【Before】

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(1)断る理由が、とってつけたような一般論になっている。どのような場面でも使えるお決まりのフレーズでは、誠意を感じさせることはできない。

(2)自分が事業責任者であれば、役員会議の開催や検討を重ねる必要はないはず。「簡潔」「直球」「迅速」をまずは心がける。

(3)断っておきながら「今後ともご愛顧を」という文面では、相手に白々しさを感じさせてしまう。取引先との良好な関係を保つためにも、ちょっとした一言に気を使う必要がある。

(4)返答に1カ月も費やす必要があったのか。断り状に限らず、決断とレスポンスは迅速に。

【After】

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(1)要点を具体的に個条書きで…パッと見ただけで、理解できるのが一番。さらに具体的で簡潔に断りの理由を示す。おざなりの理由で断れば、その後の関係の悪化も懸念される。

(2)相手の窮乏を理解する…相手の会社が置かれている状況をしっかり把握しておく。必ずしも文面で触れる必要はないが、窮状が明らかな場合、メーンバンクへの働きかけを視野に入れるなど、何らかのケアを心がける。

(3)チャンスをもう一度与える…提案が却下される原因は多くの場合、提案する側にある。しかし、相手とはその後も親密な情報交換を継続し、提案の機会をもう一度与える。そうすることで、却下したのは先々を見据えたうえでのお互いのためだった、と納得してもらう。

(4)返事は3日以内にする…「できる」「できない」は即答してしかるべきである。最低限の礼儀を尽くすことも肝心だが、その場しのぎの返事で先延ばしをせずに決断までのスピードを上げることが、相手との信頼関係を培っていく。

(小原孝博=撮影 西川修一=構成 小倉健一=事例作成)