成長のきっかけは、新人時代の「失敗」

永見さんが「聞くこと」の大切さを実感した新人時代のエピソードがある。ある乗客が預けた手荷物が破損したため、JALが責任を持って修理すると相手に伝えたときのことだ。

「『お客さまをお待たせしてはいけないと思い、早くご説明しなくては』と焦ってしまい、私が一方的に修理の手順を早口で話しはじめてしまったんです。そうしたら、お客さまの表情がみるみる険しくなって……。もしお怒りなのであれば、まずはその気持ちを推し量って、こちらが共感と理解を示すことが必要だったんですね。改めて要望を伺うことでそのお客さまも最後は『こちらの気持ちをわかってくれたならそれでいい』とご納得してくださいました。お客さまにご迷惑をおかけしたときこそ、相手の言葉に耳を傾けることが重要だと学びました」

アジアからの旅行客のために中国語や韓国語の挨拶を勉強したり、聴覚障がい者に対応できるよう手話を覚えたりと、日本一になっても努力を惜しまない永見さん。「自分がお客さまに対してできることの引き出しをもっと増やしたい」と、さらなる接客スキルの向上に向けた意欲を語ってくれた。

▼日本一のポイント:会話のスピードを合わせる

永見愛里(ながみ・えり)
JALスカイ 国際部 国際パッセンジャーサービス担当
大学卒業後、2016年入社。18年日本航空の地上係員の接客スキルを競う「空港サービスのプロフェッショナルコンテスト国内部門」で優勝。
(撮影=市来朋久)
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