長期投資をするなら分散投資が大前提

一方、ミクロの視点で、個人が投資をする場合にはどうすればいいのか。

「長期投資をするなら分散投資が大前提になります。相場が下がったときにたくさん買い、上がったら買う量を抑えるドルコスト平均法を実践することが大事です」(熊谷氏)

何より重要なのは「どう転んでも大きく負けないポジションをとること」(熊谷氏)だという。

「自ら投資をすれば、おのずとその分野に詳しくなります。広く浅く学べば、思わぬ形で仕事の役に立つこともあるでしょう。たとえ少額でも投資をはじめることをおすすめします」(熊谷氏)

山崎氏も「自分も働く傍ら、お金にも働いてもらうという意味で、投資をする意味はある」と投資をすすめる。

人生100年時代、老後資産に必要な金額は3000万円とも、1億円とも言われる。だが、山崎氏は「平均値に一喜一憂しても無意味」と断言する。

「家計調査を見ると、定年後の生活費は現役時代のおよそ7割くらいの場合が多い。今の生活費を10とした場合、定年後の生活費はいくらになるのか。将来、収入が減る分を貯蓄でまかなうには、手取りの何割を貯蓄に回さなくてはいけないのか……と計算します。月々必要な貯蓄額があまりに高額で現実離れしているようなら、まずは今の生活費を減らす努力をする。こうして帳尻を合わせていけば、心配ありません」

山崎 元(やまざき・はじめ)
経済評論家
1981年、東京大学経済学部卒。楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。共著に『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』など。
 

熊谷亮丸(くまがい・みつまる)
大和総研常務執行役員チーフエコノミスト
1989年、東京大学法学部卒。日本興業銀行調査部などを経て2007年大和総研に入社。共著に『この1冊でわかる 世界経済の新常識2018』など。
 
(撮影=岡田晃奈 写真=iStock.com)
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