大量のデータからの「パターン認識」が可能になった
ニューラル・ネットワーク、すなわち、人間の脳と同じようなやり方で情報を処理することにより、このようなパターン認識が可能になるわけですが、AIがどのような情報処理によって、パターン認識をしているのかについてはわかっていません。人間は、コンピュータにニューラル・ネットワークを作りはしましたが、そこで何が行われているかは、わかっていないのです。
従来のコンピュータ技術では、ネコの写真であることを認識させるためには、ネコのさまざまな特徴を抽出して、プログラムする必要がありました。それでも、どんなネコの写真にも対応できるように特徴を抽出することは困難ですから、コンピュータが写真を見て、その写真がネコであることを完全に判別することは難しかったのです。
ところが、ニューラル・ネットワークを作るという、ある意味では単純な方法でパターン認識ができるようになりました。精密な仕組みを作るのではなく、大量のデータを用いることによって、パターン認識が可能になったわけで、これは驚きです。
「何を知るべきか」という方向を決める
ニューラル・ネットワークをベースとしたディープラーニングによって、手書きの文字や数字が判読できるようになりました。このことによって、たとえば、配送作業をやるときに、手書きの伝票であっても、コンピュータが読めるようになりました。従来は人間がやっていた配送分別作業は、コンピュータが代替できるようになったのです。
配送分別作業に写真が関わる際も、コンピュータで対応できるようになりました。アングルや明るさ、解像度などが違っていても、同じ商品を撮った写真であれば、コンピュータは同一の商品であると判別します。
また、ディープラーニングによって、コンピュータは自然言語も理解できるようになったので、コールセンターは自動対応が可能になりました。
失業者が大量に出ると社会不安が起こるので、企業がドラスティックにAI化を進めることはないかもしれません。しかし、技術的には十分に可能なのであり、将来、AIがさまざまな仕事を人間から奪っていくことは間違いないでしょう。