配当金が多ければインカム投資の魅力は高まるが、配当金が得られる以外にも、株価が下がった場合のダメージが抑えられるのも魅力といえる。

例えば30万円を投資し、毎年1万5000円の配当金を得たとしよう。配当金は2年で3万円となり、株価が1割下がっても配当金でモトはとれている。配当金が多ければ、株価が下がっても損を回避できるというわけである。

ただし、配当金の額は約束されているわけではなく、減配や配当見送りということもありうる。また配当があっても株価が極端に下がれば含み損を抱える。それを避けるには、業績が堅調で資産が潤沢な企業を選ぶことが重要だ。

例えばJTは約31万円で投資でき、予想配当金は1万5000円、配当利回りは4.8%である。日産自動車は11万円弱で投資でき、予想配当金5700円、配当利回りは5.3%である(いずれも18年6月19日現在)。

配当利回りは、「配当金(年額)÷株価×100(%)」で計算され、株価が低いほど、また配当金額が多いほど、高くなる。株価が低いときに買うほど配当利回りは高いので、「業績が好調で配当金が期待できるのに株価が下がったとき」が投資の好機だ。

配当金を得るためには、株主の権利(配当や株主優待を受ける権利)が確定する「権利確定日」(おもに決算日と同日)に株式を保有している必要がある。権利確定日に近づくと配当や優待狙いで株価が上昇する傾向があるので、投資時期は3カ月ほど前を目安にするといいだろう。

また狙いが配当金でも、株価が大きく上昇した場合は売却も視野に入れたい。

深野康彦
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルリサーチ代表。『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』など、著書多数。
(構成=高橋晴美 写真=iStock.com)
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