LAコールセンターの社員は、ANAの社歌を歌う
ロサンゼルスにあるコールセンターの社員は、今もANAの社歌を歌っています。当時のその部署のトップだった外国人マネジャーが、みんなに社歌を教えたんだそうです。われわれ世代の日本人社員は社歌を歌えますが、今は教えていないから、若手はおそらく歌えない。ANAのDNAが逆に海外で受け継がれていると思うと、感慨深いですね。
──片野坂社長は社長就任時に「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を発表しました。宣言に込められた思いを聞かせてください。
ダイバーシティは以前から意識してきました。私は04年から人事部長を5年間務めまして、当時から「女性」「外国人」をキーワードにしていたくらいです。『史記』に「鶏鳴狗盗」という故事があります。囚われの身になった孟嘗君が、鶏の鳴きまねが上手な部下や、犬のように盗みが得意な部下の力を借りて函谷関を抜けた。組織も個性的な人材がいるほうが強いのです。
ただ、多様な人材がいるだけではダメです。エアラインは、チームワークが何より大切。多様な人材がお互いを仲間として認め合ってこそ、いい仕事ができます。そうした思いから、ダイバーシティに、「包摂」を意味するインクルージョンを付け加えました。
女性登用は数値目標を持って取り組んでいて、グループにはすでに女性社長が数人います。女性ならではのインクルージョンがあるのか、業績を上げている会社が多いですよ。