そこで、村上夫妻は自宅の1階を利用して隠れ家的な蕎麦屋を経営すべく準備を進めており、年間の利益を168万円程度(月14万円)と想定している。自営業で厚生年金に加入しない場合は60歳以降の働きに応じて将来の年金額が増えることもないが、年金の支給停止とは無縁で、いくら稼いでも支給停止の心配はない。定年退職後に自営業で働く(厚生年金に加入しない)なら年金額への影響は一切なし、ということである。

蕎麦屋を65歳まで経営すれば収入は840万円増え、破綻年齢は83歳まで引き延ばせる。さらに70歳まで働けば90歳まで破綻は避けられ、75歳まで働ければ90歳時点で1000万円を超える貯蓄が残せる計算だ。

「自営業は引退時期を自身で決められるメリットがあります。ただしリタイア後に事業を営むなら、コストをかけず、リスクがない方法を考えるのが基本です」