116万円もカットされるのは納得がいかない、という向きもあるだろう。たしかに心情的にはそうだが、手取りで考えると、年金だけなら209万円なのに対し、290万円の賃金を得れば290万円+支給停止額を引いた年金93万円で383万円となり、働いたほうが多くなる。

「支給停止には目をつぶり、“実”を取ったほうがいいといえます。実際、65歳まで働けば家計破綻に陥るのは77歳のとき。5年働くことによって8年分、家計が好転しますよ」

さらに働くとどうなるか。働く限り、年金の支給停止は続くが、65歳未満と65歳以上では計算方法が異なり、65歳を過ぎると支給停止額が小さくなる。

佐伯さんの場合、65歳からは支給停止額が116万円から13万円まで大幅に減る。そして65歳までの5年間、厚生年金の加入期間が長くなったことでもともとの支給額も9万円増え、年金の受給額は284万円となる。これで破綻年齢は87歳まで延ばせる。

さらに75歳まで働けば90歳時点で918万円、80歳まで働けば2332万円もの貯蓄が残せる。