誤りその4 顧客の困りごとを聞き出すだけ

自社商品・サービスを購入してもらうには、最終的には、お客様の困りごとを聞き出し、その課題を解決する商品・サービスを提案しなければなりません。

高橋研著『AIに駆逐されない営業力 実践!インサイトセールス』(プレジデント社)

しかし、それだけでは、なぜ営業担当者として私がこの提案をするのかという意味付けが薄弱です。なぜなら、他社も同じような提案をするに違いないからです。差別化ができません。そうなれば、既に指摘したように、同じようなものを「より安価で提供できます」「短期間で納入できます」など、条件競争の中で自社が譲歩し条件を引き下げる行為に走ることで他社との差別化を図るほかありません。

だからこそ、自社の提案に、より強い意味、背景を持たせるために、他社とは異なるアプローチが必要なのです。そして他社とは異なるそのアプローチこそ、私が提唱するインサイトセールスです。

インサイトセールスのポイントは、お客様の抱いている経営理念や事業ビジョンを聞き出し、その中に自社の提案を位置付けることです。理念、ビジョンを実現、支援する提案となれば、提案を受け取る側の心証は間違いなく良くなります。あなたの提案は相手の胸に刺さる提案となるのです。その結果、受注につながる。それこそがインサイトセールスです。

高橋 研(たかはし・けん)
営業コンサルタント
アルヴァスデザイン代表取締役CVO。1974年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了後、ファンケルに入社。製品開発およびマーケティング業務に携わる。人事コンサルティングベンチャーなどを経て、2013年アルヴァスデザインを創業。年間約500回の営業研修や営業プロジェクトに携わっている。
(写真=iStock.com)
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