▼香典はいくら包むか
「香典の金額は先方からいただいた金額が一番の基準になりますが、取引先の場合で、個人として包むのであれば5000~1万円。会社としての対応であれば相手のポスト、社会的地位などを考慮して上司と相談のうえ、会社の規定などをもとに決めるといいでしょう」(岩下さん)
香典は新札でなくても構わない。新札を使うとあらかじめ不幸を予測して用意していたようにも受け取られるからという理由だが、使い古したしわしわのお札は控えるべき。「使った痕跡がわかる程度のお札がいいでしょう。新札を入れる場合は、一折りしてから入れるのが品のいい方法です。入れ方は紙幣の顔が印刷されている側が下、さらに中包みの表側に裏が向くようにするとより気持ちが伝わります」(西出さん)。
(1)取引先関係への香典(個人で)
5,000~10,000円
(2)取引先関係への香典(会社として)
上司と相談〈取引先との関係によって金額は異なる〉
(3)友人・同僚・上司への香典
5,000~10,000円
(4)友人・同僚・上司の家族への香典
3,000~5,000円
▼香典の出し方
香典を持参する際は、紫か黒の袱紗に包んで奉呈するのが礼儀。「手渡しにならぬよう、たたんだ袱紗の上に載せ、受け取りやすいように、相手側に香典袋が少し出るようにして、渡します。ビニール袋に入れたままゴソゴソポケットから取り出すのは恥ずかしい振る舞いです」(岩下さん)。
▼代理人による参列
上司の代理人として通夜や葬式に出席する場合はどうしたらいいのか。
「受付で、誰の代理で来たかを告げます。上司から名刺を預かっていたら、上司の名刺の右上に『弔』と書き自分の名刺の右上には『代』と書きます。香典を渡して記帳するときは、出席できなかった上司の名前を大きく書くこと。あなたの名前は上司の左下、次の行に少し小さめに、『代 日之本太郎』といった具合に書きます」(西出さん)
預かってきた香典を受付に出したとき、「お香典の儀はご辞退させていただきます」ときっぱり断られたら無理強いはせず、素直に引っこめたほうが礼にかなっている。
マナーデザイナー
全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流の小笠原清信氏のもとでマナーを学ぶ。1985年、現代礼法研究所を設立。NPO法人「マナー教育サポート協会」理事長。著書に『美人のことば練習帖』などがある。
西出ひろ子(にしで・ひろこ)
ヒロコマナーグループ 創立者
国会議員の秘書などを経て、英国にて起業。日本初のマナーコンサルタントとして活躍中。企業収益を上げるビジネスマナー、印象アップ術などの実績多数。著書は国内外で80冊以上。