とんでもないことをやった総理として歴史に名を残す
安倍が16年間通った母校・成蹊大学の元学長で、安倍の恩師でもある宇野重昭は、『安倍三代』(青木理著・朝日新聞出版)の中で涙を浮かべながら、安倍のことをこう語ったという。
はっきり言って彼は、首相として、ここ2,3年ほどの間に大変なことをしてしまったと思っています。憲法解釈の変更などによって平和国家としての日本のありようを変え、危険な道に引っ張り込んでしまった」
さらに、宇野は、現在の自民党の保守主義は本物ではないといっている
でなければ、(肯定的な意味で)歴史に名を残すのではなく、とんでもないことをやった総理として歴史にマイナスな名を残すことになる」
宇野がいうように、安倍が極端な保守主義に染まったのは、政治家になってからであろう。同級生たちの安倍評は異口同音に「可もなく不可もなく、どこまでも凡庸で何の変哲もないおぼっちゃま」(『安倍三代』より)である。
日本人は善悪の判断ができなくなってしまったのか
さしたる勉強もせず確固たる信念も主義主張もない安倍は、政界に入り、岸の孫として受け入れてくれる人間たちの考えや思想を取り入れ、それを自分のものと勘違いして生きてきたに違いない。
「(自民党支持が高い10~30代は)一番新聞読まない世代だ。新聞読まない人は、全部自民党なんだ」といい放つ暴言の塊のような麻生太郎を、自己保身のために斬ることさえできない、気弱で凡庸な宰相である。
だが困ったことに、気弱な人間にありがちな独裁への憧れが強く、民主主義を蔑ろにすることを何とも思わない一面もある。
今回のように、働く者をより過労死させる働き方改悪法案や、ギャンブル依存症を増やすカジノ法案などを、ろくに審議もせずに成立させてしまう強引な手法も厭わないのである。
これほど劣悪な安倍政権を国民の4割近くがまだ支持しているということが、私には信じられない。あまりの安倍の言動の異常さに慣らされ、日本人の何割かは善悪の判断ができなくなってしまった。そう思うしかない。(文中敬称略)