「体制の保証という念願の一筆を米大統領から得た」

朝日新聞も「非核化への重大な責任」という見出しを付けてこう批判する。

「最大の焦点である非核化問題について、具体的な範囲も、工程も、時期もない。一方の北朝鮮は、体制の保証という念願の一筆を米大統領から得た」
「公表されていない別の合意があるのかは不明だ。署名された共同声明をみる限りでは、米国が会談を急ぐ必要があったのか大いに疑問が残る」

この朝日社説も主張もうなずける。

「ロシアゲート」がトランプ政権を揺さぶるか

そこで前述の大きな疑問だ。どうしてトランプ氏は共同声明で大きく譲歩したのだろうか。

米朝会談前に北朝鮮は中国とロシアに急接近した。中国とロシアを味方に付け、うしろだてにしようとたくらんだのだ。中国には正恩氏本人が直接訪問している。

これは沙鴎一歩のまったくの想像だが、北朝鮮は中国やロシアに近づくなかで大きな情報を得たはずだ。それはトランプ氏の弱点に違いない。想像を膨らませれば、それは「ロシアゲート」に関係した情報かもしれない。

ロシアゲートでは、現在トランプ氏の複数の周辺関係者が米司法当局から調べを受けるなど追及されている。2016年の米大統領選中に起きた選挙妨害にロシアが関与しているというもので、ニクソン元大統領が辞任するきっかけとなった「ウォーターゲート事件」になぞらえたものだ。トランプ氏の大統領辞任につながる疑獄事件に発展する可能性が指摘されている。

ロシアゲートが今後、トランプ政権を揺さぶることは間違いないと思う。ただ、たとえトランプ政権が倒れたとしても国際社会は北朝鮮に対する制裁を含めた監視を怠ってはならない。

(写真=AFP/時事通信フォト)
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