「オレを認めて臭」発生の理由

食品会社の営業職Aさん(48)の例を見てみましょう。

福田健著『話し方の「加齢臭」』(プレジデント社)

Aさんは会社で順当に業績をあげ、立場も上がっていきました。ところが、49歳のとき加齢とプレッシャーに負けてしまい仕事上でミスをしてしまいました。

それをきっかけに、若い部下や周りの皆が急に手のひらを返したようにコロッと態度を変えてAさんに接するようになりました。Aさんは会社の中で外れていく感覚を抱くようになりました。

Aさんはそのときに「ふざけるな! オレがどれだけやってきたと思ってるんだ」ととても悔しく思ったそうです。そして、その後、若い部下に対して優しく接することが難しくなりました。

このAさんの例のように、人の評価は変わりやすいものです。とくに、評価されていたという経験があるほどに、認められなくなった、必要とされなくなったと感じたとき、承認欲求が強くでてしまいます。そして、自分が認められないと、相手のことも認められなくなります。

「否定からはいる人」が圧倒的に増える

会社での立場が上になると相手が言ったことに、最初から「はい」と言わない人が増えます。何か言われたときに「いや違う」「そうじゃない」と否定から入る人は多くなります。

区役所職員のCさん(45)は、上司(57)の「お前の話には納得していないよ、オレが決めるんだ」「まずは、オレの考えを認めて、それからお前の話を聞いてやる」といった言葉や態度がやる気をなくすし、とても負担になると言います。

これは「自分が上に立っているんだ」という自分を認めさせたい心理が働いているからです。

このような心理が働くのは、部長など管理職の人によくある傾向です。自分の立場を守ろうとして、自分の存在を大きくと見せようするのです。