逆に、役員や社長までいくと、会社での立場が確立しており、立場を守るために無理をする必要がなくなるので、このような態度をとることは減っていきます。
人は立場を得ると、それを守りたくなるものです。そして、加齢による衰えや焦りが、自分の居場所を守るために「オレを認めて臭」を発してしまうのです。
損をする前に知っておくべきこと
「オレを認めて臭」を発してしまっていたCさんの例を見てみましょう。
Cさんは、部下や周りに対して「面白いものやってよ」とアイデア提案を依頼しました。そこで、みんな頑張ってアイデアを出し、Cさんに対して提案をしました。
ところが、Cさんは「それはオレの範囲では認められない」「オレだったらこうするよ、能力が足りない」等など現場の意見をつぶすような発言をしていました。当然、がんばってアイデアを出した周りの人は離れていってしまいました。
Cさんは、昔はアイデアマンで認められていたのでしょう。しかし、それにこだわりすぎ、焦り部下の能力を認めることができず、自分自身の承認欲求を訴え始めてしまったのです。
その結果、いつのまにか周りに人がいなくなってしまったのです。
自分を承認してもらいたいと思ってしまい「オレを認めて臭」を発してしまうと、逆に人からは認められず、周りから人が離れて行ってしまうのです。
なぜこうなってしまうかというと、「自分を認めて」とアピールするあまり、「相手を認める」ことを忘れてしまっているからです。相手を認めることをせずに自分だけ認めてほしい、というのでは虫がよすぎるというものです。
まずは自分が相手を認めること。そして相手を認めれば、自分も認められるのです。
話の加齢臭「オレを認めて臭」も自己認識すれば避けられることです。まず自分を知ることがとても大切なのです。
話し方能力向上協会 代表理事
1961年中央大学法学部卒業、大和運輸(現・ヤマト運輸)入社。1967年、言論科学研究所理事を経て、1983年、話し方研究所を設立。会長職を経て、現職。自治大学校講師。従来のコミュニケーション手法が通用しなくなりつつある状況の中で、世代や価値観の相違を超えた、新しいコミュニケーションのとり方について提言、提唱している。『人は「話し方」で9割変わる』など著書多数。