10万食を超える大ヒットラーメン誕生

現在では、お客さまが店で買ったラーメンをレンジで温めたその瞬間にこそ、もっともおいしい麺、もっともおいしいスープ、もっともおいしいチャーシューを味わえるよう、すべての工程を逆算してつくりあげています。

2017年10月から発売していた「豚骨ラーメン」(税込540円)(ファミリーマートのプレスリリースより)

醤油ラーメンや味噌ラーメンは、食べた時にもちもちの食感を楽しめるよう三層仕立てに、豚骨ラーメンなら食べるその時にちょうどいい「バリカタ」になっているよう、工夫を凝らしたのです。

スープも問題でした。チルドラーメンの場合は、スープをゼラチンで固める必要が出てきますが、純粋なスープの味がゼラチンの雑味で損なわれないよう、ゼラチンの微妙な味までこだわらなくてはならないのです。

さまざまな試行錯誤の結果、現時点で満足のいくラーメンができあがりました。おかげさまで1日最大で10万食を超える大ヒットとなり、刷新前に比べると、店舗におけるラーメンの売り上げは、平均して3.5倍近くの伸びを記録しました。

しかし、まだまだ改善の余地はあります。ヒット商品が生まれても、そこがゴールではなく、むしろそこからがスタートです。ある商品がヒットするということは、お客さまの基準値もアップするということです。商品開発をすればするほど、お客さまの水準、期待値もアップしていく。これこそが商品開発に関わる者にとって大変な面であり、また醍醐味であると言えるでしょう。

本多利範(ほんだ・としのり)
本多コンサルティング代表
1949年生まれ。大和証券を経て、1977年セブン‐イレブン・ジャパン入社。同社の最年少取締役に就任。後に渡韓し、ロッテグループ専務として韓国セブン‐イレブンの再建に従事。帰国後、スギ薬局専務、ラオックス社長、エーエム・ピーエム・ジャパン社長を経て、2010年よりファミリーマート常務。2015年より取締役専務執行役員・商品本部長として、おにぎりや弁当など多くの商品の全面改革に取り組む。2018年、株式会社本多コンサルティングを設立。著書に『おにぎりの本多さん とっても美味しい「市場創造」物語』(プレジデント社)がある。
関連記事
ファミマの大ヒットラーメン「何回食べても客が驚く」
冷やし中華のピークが4月中旬である理由
食べるまで1カ月かかるサラダがバカ売れ
"日本一"のラーメン店が100円下げた理由
なぜラーメン二郎は"パクリ店"を許すのか