※本稿は、本多利範『売れる化』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
日本人のソウルフード、ラーメンを制すには
春夏に人気の商品が冷やし中華だとすると、秋冬になると売れる商品にラーメンがあります。
日本人はとてもラーメンが好きな国民です。ラーメン店がない街など、ほとんど存在しないのではないでしょうか。また醤油、味噌、塩、豚骨などの汁の種類から麺の硬さや縮れ具合まで、人それぞれ好みがうるさい料理と言えるでしょう。
コンビニ各社も、いかにおいしいラーメンを提供できるか、日々努力を重ねています。私たちもスープ、チャーシュー、麺など、あらゆる角度から大々的にリニューアルすべく研究しました。
社内で「どういうラーメンをつくるか」を議論していく中で、よく出てきた意見は以下のようなものでした。
「味噌は、やはり札幌ラーメンでないと」
「豚骨は福岡です」
「喜多方ラーメンがおすすめです」
このように実にいろいろ意見が飛び交いました。日本にはいくつもの有名ラーメンブランドがあり、それぞれファンは一家言を持っています。
そのどれを採用するかで、社員たちは侃々諤々討論を重ねているのです。
けんちん汁にも「醤油派と塩派」がいる
しかし私の意見では、実のところそんなブランドは一切関係ないと思っています。博多だろうが、喜多方だろうが、札幌だろうが関係なく、「ここのラーメンはおいしい!」と言ってもらえるラーメンをつくればいいのです。
むしろ「○○なら、ここのブランドが最高」という杓子定規的な情報は、自由な発想、自由な商品開発の可能性をつまんでしまいます。例えばけんちん汁にも、醤油味や塩味などがあります。議論すると、必ず「醤油がいい」「いや、絶対塩だ」と意見が分かれるところです。しかし、どちらが本当のところおいしいのか、それが問題ではないのです。
塩派の人も、醤油派の人も、どちらも「おいしい」と感じられるけんちん汁をつくればいい話なのですから。