規正法では、国会議員関係政治団体の収支報告書について、登録政治資金監査人(税理士、公認会計士、弁護士)による監査を義務づけています。しかし、この「監査」は、支出内容が適切であるかどうかという中身の妥当性のチェックを行うものではありません。監査人の作業は、帳簿の支出記載に見合う領収書があるかどうかという外形的・定型的な確認に留まります。例えば話題になったSMバーでの支出でも、領収書があれば規正法の「監査」では問題なしとなります。外形的・定型的な監査だけでは限界があります。
しかし、支出内容の監査を法律で厳しく定めると政治活動の自由が脅かされるおそれがあります。時の政権が、批判的な政治活動に介入することがないよう慎重な配慮が必要です。
政治資金には政党助成金など国費が含まれており、献金も公的性の高い透明性が求められて当然です。一方で政治活動の自由は守られるべきで、このバランスが重要です。政治資金の使い方が国民の期待に応えるものか、各政党が自主的に第三者に監査を依頼して、信頼性を高めるのも1つの方法でしょう。
弁護士
東京千代田法律事務所。一般社団法人裁判員ネット代表理事。中央大学法学部卒業後、同大大学院法学研究科政治学専攻。山梨学院大学法科大学院を経て現職。著書に『裁判員制度と知る権利』(共著)など。