貯蓄は30万円?「今まで何やっていたんだ!」

自宅でレシート整理していた妻に「毎月、家計のやりくりお疲れさま」と声をかけました。ところが、妻から返答がない。「実は、貯金が30万円くらいしか増えていないの」。この発言に衝撃を受けたのは、毎月20万きっちり貯金されていると信じ切っていたTさんです。半年もたったのだから、優に100万円は超えているはずだと思っていました。ところが……。

実際の貯蓄額は毎月5万円程度だったことになります。当初のプランは完全に崩壊してしまいました。「給料を全部渡して、君のやりたいようにやらせてあげたのに、いったい何をやっていたんだ!」と、Tさんはつい声を荒らげてしまいました。

これにはMさんも黙ってはいません。

「任せた、の一点張りで、相談にも乗ってくれなかったじゃない。私が毎月やりくりでどんなにつらかったか、全然わかってないでしょ! 『やらせてあげた』なんて、何様のつもり!」

2人の間にはこの冬の最強寒波さながらの、冷たい空気が横たわったままだそうです。

▼「食費と外食費」は予算の2倍以上の11.4万円

そんなお2人に家計の立て直しをしてもらうべく、まずは毎月の各費目の「予算額」と実際の「支出額」を教えてもらいました。その一覧をそばで見たTさんの目は血走っています。

予算は、食費4万円、外食費1万円、教育費4万円、交通費1万円。しかし、支出額はどれも予算を大きくオーバーしています。食費8.1万円、外食費3.3万円、教育費5.2万円、交通費1.9万円となっていました。子供のために使う教育費はともかく、食費と外食費は、予算(合計5万円)の2倍以上の11.4万円。一体どうしてしまったのでしょうか。

家族4人ですが、子供はまだ小さい(8歳と5歳)ので、外食費込みで月5万円という予算は、それほど少ない額とは言えません。立てた予算に無理があったわけではないのです。ところが、計画は完全破綻していました。Mさんはぽつりと言いました。

「予算を守らなくては、というプレッシャーが強くて……」

夫に家計管理を一任され、当初は張り切っていました。しかし、だんだん荷が重く感じられてきたそうです。以前の「夫婦別財布時代」から、保育園や塾のお迎えを1人でやっていたMさんは、ときどき「デパ地下総菜」「外食」「タクシー」に頼ることがありました。当時は、頻度も金額も少なかったそうです。

ところが「夫婦でひとつの財布時代」になり、「家計を切り盛りして、お金を貯めなければ」と思えば思うほどストレスがたまり、逆に「総菜」「外食」「タクシー」の3点セットに頼りきりの生活となり、出費が激増してしまったといいます。