部下「どうしたらいいか?」上司「どうしたらいいと思う?」

人の行動は「自分自身への問いかけ」の連続です。いま何をやるべきなのか。自分はどうしたいのか。次の動きを決めるのは、自分との対話です。だから同じ失敗を繰り返す人は、同じ質問を繰り返している人だといえます。行動を変えて、仕事のパフォーマンスを上げるには、自らにこれまでと違う新しい質問を投げかける必要があります。コーチングとは、それを助ける手法です。外から適切な問いを投げかけることで、思わぬ変化を促します。

部下から「どうしたらいいですか」と聞かれたとき、「こうしろ、ああしろ」とすぐに答えてしまうと、自発的な成長は望めません。そのときは「どうしたらいいと思う?」と問いかけて、相手が自分で考え、答えるのを待つことです。

すぐに答えが返ってくるとは限りません。やるべきことはわかっているけれど、上司に遠慮しているだけかもしれません。しかし、遠慮しているのだとすれば、その上司は部下の成長を阻害しているということです。

まずは部下への信頼を伝えること。「任されている」という実感を持てるようになると、自ら考え、自発的に動くようになっていきます。信頼を得るのは簡単ではありません。心がけたいのは、質より量。週1回の会議より、毎日の何気ない会話が大切です。相手のことを知らなければ、相手にとって適切な質問は浮かびません。部下の何を知っているのか。まずは自分に問いかけるところから始めてみましょう。

▼「どうしたらいいと思う」と質問を投げ返し、答えを待つ

桜井一紀
エグゼクティブコーチ。1958年生まれ。日本大学大学院史学専攻修士課程修了。97年にコーチ・エィ設立に参画。同社のサイトで多数のコラムを執筆中。
 
(構成=山川 徹)
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