ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグ、ジャック・ウェルチ、レディ・ガガ。超一流の人はみな「コーチ」をつけている。元OECD日本政府代表部一等書記官でエグゼクティブコーチのの國武大紀氏は「一流の人ほど『自分のことは自分では見えない』ことをよく理解している。そのため、自分を高めるフィードバックをくれる人を求める」という。企業の管理職が学ぶべき正しいフィードバックの3つのポイントとは——。

※本稿は、國武大紀『「聞く力」こそがリーダーの武器である』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

職場でタブレット端末を使用する若いビジネスパーソン
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なぜ、一流の人ほど「コーチ」をつけるのか

▼人は自分を見ることができない

鳥には空気が見えない。魚には水が見えない。そして、人間には自分が見えない。

スポーツ界ではよく登場するようになったコーチという存在ですが、日本のビジネス業界ではまだ馴染みが薄いのが実態です。米国では大企業の約8割以上が人的資本開発にコーチングを導入しているとの話もあります。

かのマイクロソフトの共同創業者、ビル・ゲイツ氏は次のようにコーチの重要性を指摘しています。

「みんなコーチを必要としています。(中略)フィードバックを与えてくれる人は誰にでも必要です」

グーグルの元CEOエリック・シュミット氏も「今まで私が受けた最高のアドバイスは『あなたはコーチをつけるべき』ということでした」と語っています。

ほかにも、フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグ氏、GEの元CEOジャック・ウェルチ氏、ビル・クリントン元米国大統領、歌手のレディ・ガガ氏など、一流と呼ばれる多くの経営者やビジネスパーソン、政治家、俳優、アーティスト、アスリートたちがコーチをつけています。

ではなぜ一流と呼ばれる人たちはコーチをつけるのでしょうか。

ゲイツ氏やシュミット氏などは、天才と呼ばれるような人たちです。そんな人たちがなぜわざわざコーチをつけるのでしょうか。

その理由は「自分のことは自分では見えない」ということをよく理解しているからです。どれほどの天才であっても、自分という意識の枠から抜け出すことはできません。自分を客観視しよう、と言ったりしますが、実際には自分で自分を客観視することは不可能です。本当に客観視するには、自分以外の人からフィードバックをもらう以外に方法はありません。

そのことがわかっているからこそ、一流の人たちは、さらに自分を高めるためにコーチをつけています。なぜなら、コーチという存在は、自分が見えていない部分を映し出してくれる鏡のような存在だからです。

自分を客観視して、さらに自分を成長させるためには、自分以外の人からフィードバックをもらうことがとても大切です。

このコーチがフィードバックをするとき、重要なポイントが3つあります。