加計問題は特別委員会を設置して集中審議を
【塩田】前原誠司代表は民進党分裂も覚悟で、思い切った選択を行いました。
【馬場】維新が国政に進出して5年が過ぎ、僕もこの5年、旧民主党、民進党の人たちと付き合ってきましたが、不平不満はあっても、アクションを起こす人は1人もいなかった。そういう意味で、前原さんと小池さんの決断は、これからの日本の政治を変えていくきっかけになるのは間違いない。そこは大きな貢献と思います。
【塩田】民進党は結局、立憲民主党、希望の党移籍組、参議院議員を中心とした民進党残留組、衆議院議員13人の無所属の会に4分裂しました。
【馬場】日本の国と政治のためによかったと思います。本来の政党政治に戻り、同じ信念、理念、国を思う気持ちが一緒の人が集まらなければ、難しい問題に対峙していけない。
【塩田】2年前、旧維新の党が分裂して日本維新の会と民進党参加組に分かれました。
【馬場】あの分裂のとき、一番感じたのは、みんな表向きかっこいいことを言っているけど、本音はどうしたら自分の議員バッジを守れるかでした。そんな人たちが国政の場に残って、果たして国がよくなるのかなと、いやというほど感じた。あの後、向こうも民進党として再スタートを切りましたが、結局、同じことを繰り返しているだけです。
【塩田】維新は今後、野党再編問題にどんな姿勢と方針で取り組むのですか。
【馬場】5年間のいろいろな人脈がありますので、話を聞いたりしています。ただ、まったく考え方が違うみなさんと会っても、いい結果は出ません。同じことを繰り返さないように、慎重に思想、信念がきちっと合うみなさんと一緒にやっていきたい。
【塩田】前原氏はインタビューに答えて、将来、維新との合流の可能性について「大いにある」と話していました。ただ、民進党から希望の党に移った人たちの中には、労働組合の連合との関係を重視する人が少なくありません。維新と希望の党の連携の可能性は。
【馬場】われわれも民間労働組合を否定しているわけではありません。公務員の組合とは立場が違います。働き方改革とか、言っていることは、よくわかります。それは党派を超えて取り組まなければいけない問題なので、別に連合を全否定しているわけではなく、連合の言うことは一切聞かないといった立場でもありません。時代が変わり、働き方改革など、党派を超えて考えていくべき時期が来ています。今後、機会があれば、意見の交換などもやっていきたいと思っています。ですが、公務員の組合が民間の組合と肩を並べて一緒に活動するのはどうかと思う。公務員の組合のみなさんには「それぞれの職場、地域住民のためにもっと頑張りなさい」と申し上げています。
維新は数は少ないけど、一致団結して、いつもみんなが同じ方向を向いている、とうらやましがられることがありますが、政党はスピリッツが同じというのが一番、大事です。それを曲げて数のために集まるのは、われわれの経験から言うと、ちょっとどうかと思う。政治はタイミングが重要と思いますので、ここは焦らずにやりたい。
【塩田】安倍晋三首相は総選挙でも勝利を収め、第2期の政権は5年を超えました。自民党による長期「1党」体制をどう見ていますか。
【馬場】加計問題も、本質の部分は自民党の中の既得権を守る側とそれを打破する側との戦いです。残念なのは、問題が出てから1年にわたり、国家戦略特区の会議が開かれず、規制緩和、特区の動きがまったく止まってしまった。これは安倍首相の責任と思います。
与党側はきちんと説明責任を果たすと言っていますが、野党側は納得できない。直近の世論調査を見ても、国民のみなさんも納得していない。僕はこの問題では特別委員会を設置して集中的にやったほうがいいと思います。国会改革にもつながる。きちんと説明して信頼を取り戻す作業をやらなければ、今後の特区の流れは止まったままになってしまう。
【塩田】もう一つの森友問題は。
【馬場】なぜ9億円の土地が8億円も値引きされたのか、この一点です。われわれも問題が起きたとき、地下調査をさせてくれと大阪航空局に申し入れたけど、拒否された。きちんと調査すれば、行政側も立証できると思います。議会側もそれを求めていくべきで、枝葉の話は関係ない。そこでどういう行政処分が行われたかが最大のポイントです。
地方自治体の場合は、市有地や県有地の処分について厳しすぎるほどの細かい規則をつくっていますが、わが党としては、国有地でも、行政側に指摘して二度とこういうことが起こらないように総括し、きちっとしたルールづくりを求めていきたいと思います。