今の国政は1955年体制に逆戻りしている
【塩田潮】2017年10月の総選挙で、日本維新の会は獲得議席11、全国の比例区の総得票数は 339万票でした。維新が国政選挙に初挑戦した12年総選挙は54議席で1226万票、前回の14年総選挙は41議席で 838万票で、過去2回と比べて大幅減です。
【馬場伸幸・日本維新の会幹事長(衆議院議員)】これは実力どおりですね。選挙戦でも公示前の現有議席の14がぎりぎりだろうという感じでしたね。橋下旋風が吹いていた「ベンチャー政党」の時期が終わり、既成政党に移行している時期と思います。党の認知度は広がりましたが、国民の支持につながっていない。既成政党として全国で地に足を着けた活動をやっていかないと、もう風頼み、人気頼みでは票はもらえない時期になっています。
確かに維新への期待感が薄れているのは事実です。ただ、10議席以上をいただいたのは、潜在的に自民党ではだめ、反対するばかりの野党もだめで、維新を応援する人が根強くいるということだと思います。
【塩田】新聞各紙が「首相、解散実施の意向」と報じたのが17年9月17日で、3日後の20日に竹中平蔵氏(元経済財政相・慶大名誉教授)が設営した東京のANAインターコンチネンタルホテル内の日本料理店「雲海」での会合に、橋下徹氏(前大阪市長)同席の下、小池百合子・東京都知事と松井一郎・大阪府知事(維新代表)が出席したという報道がありました。維新は総選挙では小池氏が率いる希望の党と連携しました。
【馬場】その会合は、僕は確認できていませんが、小池さんは当初、政治手法や議会への対応は、維新をモデルにしていたと思う。ブレーンもわれわれのブレーンと重なっていますから、われわれのよかった点、悪かった点を小池さんに進言していたと思いますが、小池さんはいい点を発揮できなかった。築地市場の問題でも結局、都民や国民は右往左往したという印象を持った。同じ立場として松井知事はそのへんを厳しく指摘したわけです。
総選挙では、松井代表の言葉を借りれば「最大限の配慮をする」ということでした。候補者調整はやっていません。結果的に大阪と東京とのすみ分けという感じで、希望の党は大阪に候補者を立てない、維新は東京には立てない。東京で3人の立候補予定者が確定していましたが、私が直接、頭を下げて「比例のみで」ということにしました。
【塩田】総選挙のスタートのときは、愛知県の大村秀章知事も加わって、東京・愛知・大阪の東海道ベルト地帯連合の旗揚げというムードでした。
【馬場】政治家というのは勝手なもんで、自分に有利だったら賛成、不利になったら反対に回りますからね(笑)。われわれの大阪都構想の根底にあるのは統治機構の改革ですが、東京、愛知、大阪の大都市が協力して進める「三都物語」はいい構想だというのが当初の受け止め方でした。
【塩田】すぐに大村知事が抜けて、三都物語は夢物語となりました。なぜあんなことに。
【馬場】どうしたんでしょうね(笑)。3知事による記者会見には出席していました。もともと維新が誘ったのではないでしょう。
【塩田】総選挙で維新が希望の党と連携した理由は何ですか。
【馬場】今の国政は1955年体制に逆戻りしています。与党が野党第1党に気を遣い、野党はひたすら嫌がらせ大作戦をする。われわれは健全な2大政党政治を目指しているので、全然、容認できない。旧民主党、民進党の人たちと話をすると、わかっていると言いながら、プラカードを出して妨害したり委員長席へ詰め寄ることを止めない。そういう政治勢力を分断し、壊してしまう。松井代表はしがらみのない政治、新しい政治を目指す勢力の結集を選択したと思います。連携は即断即決でないとできません。党内で協議はなかったですね。みんな有利になると見込んでいたんでしょう。異論は一切出ませんでした。
【塩田】総選挙で希望の党は不振でした。小池都知事のやり方をどう受け止めましたか。
【馬場】われわれも経験があります。最大のポイントは「排除」だと思いますが、セレクトするのではなく、一度、全部飲み込んでしまうか、それともチャーターメンバーだけで核をつくるか、どちらかを選択したほうがよかったと思います。