このほど松井一郎代表の続投が決まった日本維新の会。地域政党を母体に発展した同党は、なぜ国政でも一定の影響力を保ち続けているのか。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(11月28日配信)より、抜粋記事をお届けします――。
日本維新の会の全体会議で笑顔を見せる石原慎太郎氏(右)と橋下徹氏=2012年、大阪市(写真=時事通信フォト)

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僕には真似できない! 自民党派閥トップの人間関係の作り方

僕はこんな国会議員のために政党の代表をやるなんてまっぴらごめんだ。松井さんも同じ気持ちだろう。ただ今回は日本維新の会の臨時党大会の意思として、松井さんに代表継続の依頼があったので、仕方なしに受けたんだろう。ここが選挙直後に党内で小池さんを猛批判し、小池さんが代表を辞任する事態に陥った希望の党との違いだね。

遡って言うと、僕はこういう国会議員の性質を知っていたからこそ、石原慎太郎さんと組むことにしたんだ。つまり石原さん率いる太陽の党と日本維新の会との合流を決めたんだ。

国会議員なんて当選したら自分が一番偉い、と感じる人種。もちろんそうではない国会議員もいるけど、それはごく少数だね。

こんな国会議員をどう束ねていくのか。やっぱりそこは人間関係しかないんだよね。北朝鮮のように、そして戦国時代のように、言うことを聞かなければ殺すぞという恐怖心で束ねることは今の成熟した民主国家では不可能。あくまでも人間関係で国会議員を束ねるしかない。

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まあ維新の会を見る限りは、お金を用いて派閥を作ったり、お金を用いて他の国会議員を従わせたりするということはなかったね。まさに維新の会では純粋な人間関係こそが国会議員をまとめる柱だった。

人間関係の構築と言えば、麻生太郎財務大臣とは、たまたまパーティーのテーブルで席が隣になったんだけど、パーティーが終わった後すぐに直筆による手紙が送られて来た。しかも長文でパーティーの席で話したことが散りばめられている。麻生さんの周辺の人に聞くと、麻生さんはこういうことをずっとされているらしい。いやー凄すぎる。麻生さんは名刺交換した後、交換相手と歓談しながらその名刺に会話の内容のメモを取っていた。その人と話した内容を名刺にメモして、後から手紙を書く時のネタにしているんだろう。

一方僕は「できる限り一人にしてくれ」オーラを放って、名刺交換などせずに黙々と料理を食べていたね(笑)

大阪維新の会ではこのような政治に必要な人間関係は、松井さんや、その他の大阪維新の会の重鎮地方議員に全て委ねていた。だから僕は、煩わしい人間関係に縛られず、好き放題の態度振る舞いができた。このことによって大阪維新の会の内部に亀裂が走り、松井さんやその他の重鎮議員に党内修復のために走り回ってもらったことも多々あったんだろうけど、僕はそんなこととはつゆ知らず。