たまには難しい本でも「斜め読み」せず「熟読」する
「思考力」は筋肉を鍛えるのと同様、訓練や習慣によって高めていくことができます。先ほどの「:DeNA」の例で言えば、検索する前に、一度、自分で考えてみるということです。グーグルのような便利なツールが存在しなかったときは、これが普通だったのです。
それと、ときには難しい本を読んでみることです。難しい本が売れなくなっているという話をよく聞きますが、それは多くの人の思考力が落ちているからかもしれません。
しかし、最初はゆっくりでいいので、1段落ごと、1ページごと理解できるまで読みこむようにするのです。私自身、1ページをしっかり理解するために30分くらいかけて読むこともあります。前のページを振り返ったり、言葉のバックグラウンドに思いをはせたりしながら、「完全」とまではいかなくとも、著者が考えるレベルに近づくまで読み込むのです。
この「熟読」の習慣が思考力を育てていきます。
「斜め読み」や「速読」では思考力は絶対に身につきません。訓練だと思って、(1)すぐに正解を検索せずまずは自分で考える、(2)難しい本をじっくり読むこと、を心がけてください。
▼「思考力」だけでは不十分。「実行力」も鍛える
ビジネス世界で生きていくには、「実行力」や「行動力」はとても大切です。思っているだけ、口先だけでは何も変わりませんし、誰もついてはきません。まずは、自分で道をひらくことが大切なのです。
「実行力」を鍛えるために、私が有効だと思っていることは、「言ったことをやる」ということです。単純明快です。誰かと飲みに行く約束をしたら、それをやる。子供とかわした小さな約束も必ず実行する。自分が社長で、社員に「海外旅行に連れていく」と言ったら、それも実行するのです。
言ったことを守ることで、「実行力」が高めるだけでなく、人の信用を得ることもできます。私は、交わした約束が小さなものであるほど即座に手帳にメモするようにしています。忘れないで実行するためです。実現のための具体的な第一歩を踏めば、その後のプロセスはスムーズです。