シドニー五輪「金」の高橋尚子は「億」を稼いだ

さらにちょうど1カ月前の12月3日、福岡国際マラソンでは日本歴代5位の2時間7分19秒をマークし、全体の3位(日本人1位)に輝いた。大迫はいま最も旬なマラソンランナーといえる。

その福岡国際マラソンの3日後、大迫は、マニュライフ生命保険とのスポンサーシップ契約締結会見に出席した(契約は2020年までの3年間)。大迫は同社のイベントなどに参加してブランドの認知度向上を担う一方で、資金面などでサポートを受ける。プロのアスリートとすれば、スポンサーシップによる収入増で、より充実したトレーニングが可能になる。

マニュライフ生命保険とのスポンサーシップ契約締結会見に出席した大迫選手

大迫が契約・所属している「ナイキ・オレゴンプロジェクト」はナイキが支援しているクラブチームだ。大迫の契約金額は非公表だが、日本人選手がメーカーと契約する場合、数百万円というのが一般的だ。

例外は、シドニー五輪(2000年)で金メダルを獲得した高橋尚子だ。2003年6月からスカイネットアジア航空と2年契約で総額3億円(推定)、2005年6月からはファイテンと4年契約で総額6億円(推定)という大型契約を結んでいた。だが高橋は例外中の例外で、日本人選手の契約金額はまだまだ低い。

▼「最も1億円に近いランナー」大迫傑の独占取材

「マラソン復活」を掲げて、日本では実業団連合が15年から、マラソンの日本新記録が出た場合に1億円の報奨金を出すプロジェクトを開始している。男子の日本記録は高岡寿成の2時間6分16秒。2度目のマラソンとなる福岡国際で現役日本人最高タイムの2時間7分19秒をたたき出した大迫は最も1億円に近いランナーといえるだろう。

1億円プレーヤーが何人もいる他の競技に比べると、年間に参加できるレース数が限られるマラソンで稼ぐのは容易なことではない。それでも大迫は、「稼ぐ」という意味で、マラソン界だけでなく、日本スポーツ界のトップクラスに近づきつつある選手だ。

大迫本人に前出のマニュライフ生命保険との契約の記者会見後に、「マラソンは稼げるスポーツなのか」と聞いてみた。