人前でプレゼンテーションやスピーチをするのはもちろん、たった数人の顧客の前でも特に相手のオフィスに行ったときなど、いつもと違う環境に置かれたり、成功しようと力が入るだけでもストレスを感じ、普段通りのパフォーマンスが出せない……そんな経験はだれでも持ち合わせるものかもしれない。
例えば、どんなストレス下でも最高のパフォーマンスをしなければならないスポーツ選手たちは、「メンタルリハーサル」を大切にしている。ご存じの通り、あらゆる試合場面を想定して、最高のパフォーマンスができた場面をイメージするものだ。
最高のパフォーマンスができた場面をイメージする
もちろん、すべては“慣れ”で、こなれてくるものでもある。日々練習を積み重ね、筋肉や瞬発力を鍛えることで体は自然に動き、多くの試合をこなすことで本番のどんな場面に対応できるようになるだろう。プレゼンなども同様で、何度も繰り返すうちに人前で言葉に詰まることなく話せるようになるものである。スティーブ・ジョブズの練習量の多さは有名だ。プレゼン前には練習を積み重ね、本番直前には、丸2日かけてリハーサルを行っていたという。
こうして体が覚えるまで練習をしたとき、実際に記憶しているのは、筋肉など体ではなく「脳」だ。体が自然に動くほどの慣れには、脳の補足運動野に神経回路を構築することが必要だとされている。そのためには、実際に行動するだけでなく、行動するイメージを頭に思い浮かべるだけでもいい。本番の動きを繰り返し頭の中で思い浮かべ、再生するだけで脳が活性化されて、その行動にまつわる脳の神経を強化できるという。
例えば手を動かすことをイメージした場合は手と関連する脳の領域が、足の運動をイメージしたときには足と関連する領域が活動し、同時にイメージに関連する筋肉にも反応が起きる。実際には体を動かさなくても、動かしたのと同じように価値ある練習につながっていく。
これが「メンタルリハーサル」だ。