ゴールから逆算して走り出すために、全体像を把握する

仕事をする上で大切なのは、「まず、全体を把握すること」です。

そして、「その中から重要度を見極めること」です。

最初に仕事の全体像を押さえた上で到達すべきゴールを決め、そこから逆算して手段や到達方法を考えます。それからようやく「さあ、仕事に着手!」という流れが理想なのです。

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どんな仕事でも、使える時間と費用は限られています。どんなにいいアイデアが100個出たとしても、その100個のアイデアを全部実行することはできません。実行するときは、限られた時間とカネで実行できる10個に絞る必要が出てきます。

「何を実行し、何を捨てるのか?」

この取捨選択をするためには、全体像がわからないと適切な判断ができません。

上司は全体像を知りたがっている

私が若手だった頃、会議の席などで、上司からしばしば「いま話しているものの総量はいくつなの?」「全体がわからないと判断できないな」という指摘をされました。

当時は「なぜそんなことをいちいち確認するのか?」と理解できませんでしたが、自分がリーダーとして大きなチームを率いる今となっては、その意味がわかるようになりました。

私が、ある部下から「今週は、他のものを後回しにして、このタスクに注力したいです」と相談されたとしましょう。

ですが私は、とっさに判断できません。なぜかというと、ほかのことも含めた全体像がわからないからです。

これがもし、「全体で見たときに、そのタスクがどれほどの重要度なのか」「後回しになる他のものに影響はないのか」といった全体にかかわる情報もあったなら、ただちに判断もでき、スピーディーにゴーサインを出すことも可能です。

上司はモノを催促していない。情報を知りたいだけ

ときおり部下に「あの資料、いつまでに作る予定?」と聞くと、「すみません! 急いで明日、提出します!」と焦って答えてくる人がいて、「別に急いでいるわけじゃないんだけど……」と残念に思うことがあります。

上司である私が求めているのは、その「資料そのもの」ではありません。

「作業は順調なのか」「いつぐらいに資料が手元にくるのか」というスケジュール感を知りたいだけなのです。