西郷隆盛が手写した101カ条"座右の訓戒"
バイブル『言志四録』の名言とは
PRESIDENT Online
2018/01/05 9:00
急いては事を仕損じる。待てば海路の日和あり
以下は、西郷隆盛を飛躍させた『言志四録』の教えの中からビジネスマンに欠かせないと私が判断したいくつかを現代語訳し、解説を加えて紹介したい。
◇毀誉褒貶に一喜一憂するな
褒められたり貶されたり、損をしたり得をしたりするのは、人生にかかる雲とか霧のようなもので、人を幻惑する。その雲や霧を消し去ることができるなら、たちまち青い空や輝く太陽が顔を出すのだ。(『言志テツ録』216)
〔解説〕照る日もあれば曇る日もある。褒められて増長せず、貶されても落ち込まず、得して舞い上がらず、損して悔しがらず。どんなときも「平常心」を心がけることが大事だ。
◇物事は鳥瞰せよ
大所高所から眺めると、物事の道筋がよくわかって迷わないはずだ。(『言志録』88)
〔解説〕「木を見て森を見ず」という喩えがある。物事に集中すると近視眼的になり、大局を見失いかねない。そうならないようにするには、空を飛ぶ鳥の目で全体を俯瞰することから始めないといけない。物事を冷静に客観視する姿勢も大事である。
◇己を見失うな
自分を見失ってはいけない。人が離れていく。人を失ってもいけない。何も得られなくなってしまう。(『言志録』120)
〔解説〕感情に溺れると、自分を見失いがちになる。情熱的なことはいいことだが、物事に熱中するあまり、冷静沈着さをなくしてしまい、正確な判断ができなくなる。心のどこかに冷めた目を持ち続けることが重要になる。
◇機が熟すまで待つべし
急(せ)いては事を仕損じる。待てば海路の日和(ひより)あり。(『言志録』130)
〔解説〕あわてると、ろくなことはない。計算ミス、誤字脱字、必要なことも書き落とす。多くの樹木は春に花を咲かせ、夏は枝葉を大きく茂らせ、秋に枯葉を落とし、冬の間は貯えた養分でじっと耐えながら春を待つ。人生も同じ。
◇深く掘れば横幅も広がる
物事をよく知ることは、聡明さを横方向に伸ばすことだ。そこに精神的な意義が加わると、聡明さが縦方向に深まっていくはずだ。(『言志録』144)
〔解説〕専門バカにならないよう、幅広い知識を身に付けることが必要だ。