20世紀型ビジネスモデルの終焉

世間で囁かれる「アパレルが死んだ」という言葉が、「20世紀型の百貨店型ビジネスモデルが終焉を迎えた」という意味であるなら、同意できる。近年、小売業のプレーヤーも変化した。06年、衣料品市場の中で31.0%のシェアを占めていた百貨店は、15年には21.0%に減少。SPAの台頭に伴って、路面店や百貨店以外の商業施設を主戦場とする専門店は43.0%から52.9%へ増加している。

しかし百貨店の「死因」を、今後、他のプラットフォーマーが踏襲する可能性は少なくない。たとえばファッションブランドが商業施設にテナントとして出店する際、通常、売れるほど家賃が高くなる売り上げ歩合のシステムが採用される。「ルミネ」や「パルコ」のような駅ビルは15~20%、「イオン」や「ららぽーと」などSC(ショッピングセンター)は15~16%だ。出店ブランドが売り上げと連動して百貨店に支払う、実質家賃と言ってよい売り上げ歩合35%と比べると安いように見えるが、商品が売れなくても最低保証額は払わなければならない。

こうした家賃の高さは、原価率の低いSPA型企業でなければ生き残れない構造をもたらした。また今後はインターネットがますます重要な販路となっていくだろう。しかしファッション企業を追いつめる慣習が改善されるかどうかは疑問である。ファッション通販最大手のゾゾタウンの販売手数料の高さは、百貨店やSCと同じことを企業に強いるかもしれない。将来、日本のアパレル史を振り返ったとき、「20世紀は百貨店が、2000年代はSCが、2020年に向けてはネット通販モールがアパレルを殺した」と語られることを私は危惧している。