学歴を積み、キャリアアップもしたことで、自信をつけ好結果に結びつけたケースもある。
理系大学の准教授として、研究のかたわら教壇にも立つ黒木修さん(仮名)は、3つの大学を卒業している。まず短大で専門課程を学び、国家資格を取得した後は、働きながら専攻科目のある大学に進み、さらに日本大学の大学院へと進学した。途中研究生だった期間も含めると、計12年間大学に通い続けたことになる。
その間、一度目の結婚と離婚を経験した。
最初の妻は、国際学会で知り合ったシンガポール籍のキャリア女性。互いに刺激し合って成長できると思える相手だった。しかし、日本での経験をバネに外国でさらにキャリアを磨くことを望む妻と、大学院を修了し、キャリアも積んで、そろそろ子供も欲しいと願う自分とでは、理想とする生活スタイルが違いすぎた。
2度目の結婚を考えたのは、38歳のとき。ポジションを得て、安定した仕事ができるようになった頃だった。
「自分がフルに働けるようになり、仕事面でも自信が持てるようになった。そうしたら、最初の結婚で望んだような知識やキャリアがあって、仕事面で高め合える相手よりも、心を支えてくれる人が重要だと思うようになったんです」
そんなとき気になったのが、非常勤で手伝っていた職場で出会った、今の妻だった。仕事中に見かける段取りのよさや、イヤな相手もやんわりと受け流す人あたりのいい性格に惹かれ、「この人なら」と思った。9歳年下の彼女も結婚を意識していることはわかったので、約1年の交際を経て再婚した。44歳になった今では、双子の娘に囲まれ、子煩悩なパパとして家庭生活を満喫している。
収入格差の前では、結婚のチャンスは平等に訪れない。そんな時代がきていることは事実だ。その中で、幸せをつかんだ2人の例が、ともに「大切なのは精神的な支え」と言及したことは、一つの道標ではないだろうか。