(3)従業員を主人公にする「物語」がある
従業員であるスタッフの制服も非常に凝っています。
店舗や季節によっても変わるようですが、戦前の眼科の看護師を思わせるものだったり、ミリタリールックだったり、建物の内装と合わせた世界観があります。
スタッフたちも店の内装とマッチした制服を着ることによって、「宮原眼科」という物語の登場人物の一員になっています。
制服を着ると、スタッフたちはちょっと誇らしい気分になるのでしょうし、写真を撮られるのも、ちょっとしたスター気分になるのでしょう(そういうことが嫌いな人はこうしたお店には勤めないでしょうから)。
スタッフ側からすると、自分たちが物語の主人公になった気分になるのです。
日出集団のホームページを見ると、スタッフが働いている姿が数多く載っています。しかも、単に接客シーンだけでなく、準備や朝礼をしているシーンや、店の近くを清掃に行くシーンなどの写真が多いのが特徴です。「スタッフこそが物語の主役なんだよ」と語っているように思えました。
このように従業員が物語の主人公になると、当然、その世界観に合わせた接客をしようと思うようになり、お客さんの満足度も上がります。
(4)商品を主人公にする「物語」がある
宮原眼科で扱っている商品のパッケージデザインはどれもとても美しいのが特徴です。
基本的にレトロモダンなデザインで本の形をしていたり、レコードジャケット風だったり、色々と凝っていて、まったく隙がなく店の世界観と合致しています。一つひとつの商品にもストーリーがありそうです。お土産にぴったりです。
季節によって目まぐるしく変化するようで、何度来店しても飽きない仕掛けになっています。また、重要なポイントは、これらの商品は基本的にここでしか買えないということ。通販はありますが、少なくとも台北や空港のお土産物屋さんでは買えません。
ここまでデザインの完成度が高いと、中身はおろそかになっているかと思いきや、カフェで食べたケーキなどはとてもおいしく、インターネット上でも高評価です。
また、原材料や製法などに対するポリシーも筋が通っています。アイスクリームのカップの裏には、乳化剤・安定剤・色素・香料他、一切不使用と大きく書かれています。
このように商品一つひとつが物語の主人公になっていると、当然、お客さんはその商品を買いたくなります。