台鐵台中駅から徒歩数分、赤レンガのクラシックな建物が見えてきました。

それが宮原眼科です。クラシックな外観とはうってかわって、建物の中はまったくの異空間でした。一見高級ブランドショップのようなゴージャスな内装で、3階まで吹き抜けです。図書館をイメージしているらしく、天井まで大量の本が積まれています。でもよく見るとすべてお菓子の箱を本に見立てたものでした。

まるで映画「ハリー・ポッター」で主人公たちが通うホグワーツ魔法魔術学校のようだ、と評する方もいます。店内にいるだけでワクワクする空間になっています。

店内では、名物の「パイナップルケーキ」「チーズケーキ」をはじめ、クッキー、チョコレートなどのスイーツが美しいパッケージに包まれて陳列されています。トートバッグなどのグッズも多数ありました。

『「コト消費」の嘘』(川上徹也著・KADOKAWA刊)

店員たちはみんな愛想がよく、どんどん試食をすすめます。

2階は「醉月樓沙龍」というレストラン&カフェ。スタイリッシュな内装で、接客もよく、落ち着いた時間を楽しめました。お茶とスイーツだけでも、かなりいいお値段がするにもかかわらず、とても満足度が高かったです。

他にも「宮原眼科冰淇淋」(テイクアウトのアイスクリーム店)、「宮原珍■」(※編集部注■=女偏に乃 テイクアウトのお茶屋さん)という店舗があり、アイスクリームの店舗には大行列ができていました。並ぶのは断念しましたが、50種類以上のアイスと20種類以上のトッピングで、オンリーワンのアイスを作ることができます。

多くのお客さんにとって、この施設にいること自体が体験という「コト」ですが、それが「モノ」につながって、すさまじく商品が売れている印象です。

「宮原眼科」に学ぶ「モノガタリ消費」とは?

この店は、オープンからもう5年近くたっています。にもかかわらず、ずっと繁盛し続けています。

なぜでしょう?

私は、日本の大型商業施設(『「コト消費」の嘘』第一章にて紹介)とは根本的に違うあるモノを感じました。それが「物語(ストーリー)」です。

この施設は、色々なモノを主人公にするように組み立てられているので、ずっと繁盛し続けていると考えられます。まさに私が考える「モノガタリ消費」の典型例です。

以下、私が発見した5つの「物語」を紹介します。