▼取材後記

小池氏と臼井氏の対談を企画したのは、名古屋企業の経営者だけではない。長年2人を取材して感じた“知的ヤンチャ”な一面が、読者の参考になるのではと考えたからだ。

両氏とも学業成績は優秀だったが、生真面目な優等生タイプではない。思ったことを口にするが、細心な一面もある。平穏な時代なら「ユニークな名物事業部長」で終わったかもしれない人材が、経営のかじ取りを担う激動の時代――。今後の参考になれば幸いだ。

小池利和(こいけ・としかず)
ブラザー工業 社長。1955年愛知県一宮市生まれ。実家は小池毛織(当時)の一族。早稲田大学政治経済学部卒業後、79年にブラザー工業に入社。米国駐在を希望して自ら手を挙げる。82年ブラザーインターナショナル(U.S.A)に出向し、渡米(その後、滞米生活は23年半に及ぶ)。主力がタイプライターから情報機器に移るなか、米州プリンティング事業の拡大に尽力した。44歳で同社社長に就任。2005年に帰国し、本社常務。07年にブラザー工業社長に就任。米国時代からの愛称は「テリー」。社内ブログ「テリーの徒然日記」を発信し続け、連載1000回を突破。休日はブログのネタづくりを兼ねて社寺探訪や野球観戦などを行う。

臼井興胤(うすい・おきたね)
コメダ珈琲店 社長。1958年愛媛県松山市生まれ。小学校を転々とし、主に東京育ち。都立富士高校から防衛大学に進学。中退後に一橋大学に入学して同校卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)でMBA取得。本社企画部勤務などを経て、ゲーム会社のセガに転職。以後ベンチャーキャピタル、ナイキ、日本マクドナルドCOO(最高執行責任者)を経て、セガに復帰して社長に就任する。グルーポン東アジア統括副社長を歴任した後、2013年7月にコメダ社長に就任。休日の気分転換は早朝に大型バイクで疾走することと渓流釣り。
(司会進行・構成=高井尚之(経済ジャーナリスト) 撮影=上野英和)
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