長男の生活費の不足額1920万円をどう捻出するか?
「ご長男の将来の生活費を捻出するためには、こちらの支出も見直す必要があると思います」
私は支出の一覧表にある「車関係費」を差しながら言いました。
「もちろん、車がないと生活できないのであれば無理に手放す必要はありません。住み替え先は駅から遠くなるでしょうから、やっぱり車がないとだめですよね?」
すると、Iさんは言いました。
「私も同じことを考えていました。実は今は車にほとんど乗りませんし、私もそろそろ年ですので車の買い換えもしない予定でした。お恥ずかしい話、車を手放すタイミングが見つけられず、ここまできてしまいました。ご心配いただいている住み替え先の移動手段ですが、住み替え先では市内循環バスなども走っているので、そちらを利用するつもりです」
「ご長男は大丈夫ですか? 例えば通院するのにバスとか電車に乗ることになるかもしれませんが、パニックになったり気分が悪くなったりすることはありませんか?」
私は長男に聞いてみました。
「満員状態はさすがに無理ですけど、すいている時間帯に利用すれば大丈夫だと思います。移動は車でなくても構いません」
▼車を手放したことで月3万5000円が削れた
家族と話し合った結果、車は思い切って手放すことになりました。車関係費は、駐車場代、ガソリン代、税金、車検代、保険代など月平均では3万5000円ほどになっていました。この3万5000円のうち、2万5000円を長男の将来の生活費に回し、残りの1万円は交通費や予備費に充てることにしました。
また、Iさんが亡くなった後、家族の収入は190万円になります。その時点で長男は60歳をすぎている見込みのため、国民年金保険料の納付は終了しています。生活費なども長男と母親の2人分になるため、長男のための月2万5000円の貯蓄はなんとか続けられそうだということがわかりました。
仮に今から母親が亡くなるまでの22年間で毎月2万5000円の貯蓄をしていくとすると、2万5000円×12カ月×22年=660万円のお金は準備できることになりそうです。
「長男の小遣いから少しでも将来のための貯蓄ができればなおよいのですが。検討してみてくださいね」
「わかりました。頑張ってみます」(長男)
仮に小遣い(現状3万円)から月1万円を貯蓄に回した場合、1万円×12カ月×22年=264万円。
つまり、先ほどの660万円と合わせると924万円になります。長男のひとり暮らしの期間(66歳〜86歳)の生活費の不足額は1920万円でした。まだ1000万円足りません。