深刻化する人種、移民、格差問題
米国は歴史的に多くの移民を受け入れ、その多様性を基に繁栄を続けて来ました。そして、現在では世界一の超大国として君臨しています。一方で、米国では昨今、白人警官による黒人の殺害に端を発した大規模な抗議デモ、トランプ政権の誕生と移民排斥的な姿勢、白人至上主義団体とこれに反対する団体が衝突した事件等々、人種問題、移民問題が蒸し返されています。
また、米国では所得格差の拡大が顕著で、これに抗議する市民によるニューヨークのウォール街の占拠事件(2011年9月~)も発生しています。これらの社会問題は深刻であり、米国の今後に大きな不確実性を招来することは必定です。そのような中で、トランプ政権は選挙戦での公約をほとんど実行できていない状況が続いているため、今後も、社会的弱者である外国人、移民等を規制する措置を繰り返すことが懸念されます。いずれにしても、米国に進出している企業としては、今後も米国政策の急激な変化等の「カントリーリスク」を常に留意する姿勢が必要です。
有限責任監査法人トーマツ ディレクター。1962年生まれ。有限責任監査法人トーマツにてリスクマネジメント、クライシスマネジメントに関わるコンサルティングに従事。専門分野は、カントリーリスク、海外事業展開支援、海外子会社のガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)体制構築等。これまでコンサルティングで携わった企業数は600社を越える。これまでに執筆した論文・著書等は200編以上。政府機関・公的機関の各種委員会(経済産業省・国土交通省・JETRO等)の委員を数多く務めている