世界トップのアデコは、欧州全域を中心に世界での事業を推進し、日本での売上規模が1600億円を超しているが、リクルートHDも海外事業を拡大。売上高に占める海外比率はほぼ4割となっている。人材派遣業に限れば、海外6052億円、国内4634億円と、すでに海外売上高が国内を上回っており、海外売上高1兆円も視野に入ってきた。
求人情報誌「フロム・エー(現「フロム・エー ナビ」)」などを手がけていた同社が、人材派遣事業を本格化させたのは、現在のリクルートスタッフィング設立の1987年。以後、M&A(買収・合併)戦略で事業を拡大。16年に1811億円で買収したオランダの人材派遣会社USGピープルが業績に寄与してきたように、この数年の海外M&Aの成功が同社の業績を飛躍させてきた。
海外M&Aは人材派遣事業にとどまらない。2012年には求人情報検索エンジンの米インディードを965億円で買収している。12年度からの5期合計で、M&Aなどへの出金は5667億円である。のれんの計上金額が上昇で推移しているのは、積極的なM&Aを手がけてきた証左でもある。
人材派遣、紹介、サイト運営でバランスよく稼ぐ
人材派遣業を中心に、利益率が高い人材紹介事業や就職情報サイトも運営。「SUUMO」「ゼクシィ」「スタディサプリ進路」「カーセンサー」といった住宅や結婚、進学、自動車、旅行、飲食、美容などの関連企業の販促を手助けるサイトも運営するなど、それぞれの事業でバランスよく稼いでいるのも、リクルートHDの強みである。
17年3月期の売上高1兆8399億円は、13年3月期比で1.75倍まで伸長。毎年、コンスタントに稼いでおり、利益の蓄積である利益剰余金(内部留保)を6500億円強まで拡大させてきた。
リクルートHDの18年3月期の予想は、売上高2兆840億円、営業利益率8.9%、純利益1220億円である。