細川氏と野田聖子氏の共通項

細川氏と野田聖子氏の共通項を分かる人は少ないと思うが2人は政治経験者では少数勢力である上智大OB、OG。同窓会活動などで親交がある。「小池新党」に野田氏を招き入れ「東京の小池」「国会の野田」という2人の「姫」を顔にしようとした。いかにも殿らしい発想だ。

小池氏と野田氏の関係について触れておきたい。小池氏は92年の参院選で日本新党から出馬して当選、翌93年に衆院選にくら替えして当選。野田氏は、同年の衆院選で初当選する。政治歴はほぼ同じ。どちらも、当時は珍しい若く美形の政治家だった。

小池氏が自民党に移り同じ政党となった後も、比較的良好な関係だった。15年の自民党総裁選で野田氏が出馬を目指した時も、小池氏は応援する考えを伝えていた。当時は衆院本会議の席が前後で、議事そっちのけで「女子トーク」している姿が目撃されている。小池氏は自民党史上初の女性総務会長、野田氏は2人目だ。

野田氏の入閣でゲームオーバー

「国政の野田、都政の小池」のツートップが実現していたらインパクトは大きかっただろう。「大きかった」と過去形で書いたのは、この構想は残念ながら現実味を帯びる前に消えてしまった。8月3日、野田氏は安倍首相の求めに応じて総務相に就任。安倍内閣の一員となったところで、野田氏が自民党を離党して新党に加わるというシナリオはゲームオーバーになった。先ほど紹介した8月13日の会合も、野田氏が入閣した後だったので、新党を目指して布石を打つ会合だったはずが、細川氏にとっては「残念会」になってしまった。

政治に「たら、れば」は禁物だが、もし「小池・野田新党」ができていたら、民進党も合流するなど、ダイナミックな野党再編につながる可能性もあった。軽井沢会合に出席した「角栄の孫」らも加わるようなことにもなったかもしれない。

安倍首相が、細川氏の「策謀」をどこまで知っていたのかは分からない。ただ、危険の芽を摘んでおくために閣内に野田氏を取り込んだ初期消火対応は、見事というほかない。この結果、政治情勢は「安倍1強」の秋を迎えた。

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