8月7日、小池百合子東京都知事の側近の若狭勝衆院議員は、記者会見を開き、「日本ファーストの会」の設立を公表した。これは国政進出に向けた動きなのか。そうとらえるのはまだ早い。現状では小池氏らは「全方位外交」を続けており、「国政新党」を立ち上げるには、ステップが必要だからだ。政策コンサルタントの室伏謙一氏が読み解く――。

見た目は「日本維新」とそっくりだが……

8月7日、小池百合子東京都知事の側近の若狭勝衆院議員は、記者会見を開き、「日本(にっぽん)ファーストの会」の設立を公表した。これについて、小池知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」の国政進出に向けた動きとする見方が広がっている。「日本ファーストの会」は「都民ファーストの国政政党版」と評する人までいるようだ。おそらく、かつて大阪維新の会が日本維新の会と銘打って国政に進出したことになぞらえているのだろう。

2017年東京都議会選挙「都民ファースト」街頭演説(写真=つのだよしお/アフロ)

確かに見た目はそっくりだが、「日本ファーストの会」は、あくまでも若狭議員を代表者とする政治団体である。政治団体とは、政治資金規正法第3条第1項に規定されているように、(1)政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体、(2)特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体、(3)これらの他、a)政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対する活動、b)特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対する活動をその主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体、のいずれかのことである。

政党はこれらの条件に加えて、(1)所属国会議員が5人以上又は(2)前回の衆議院議員総選挙(小選挙区・比例代表)、前回又は前々回の参議院議員通常選挙(選挙区・比例代表)のいずれかの全国を通じた得票率が2%以上、のいずれかに当てはまる政治団体である(同法同条第2項)。

あくまでも若狭議員の政治団体にすぎない

当然のことながら「日本ファーストの会」は政党としての要件には当てはまらず、政治資金規正法第3条第1項に規定するいずれかの政治団体ということになる。若狭議員の政治団体としては「わかさ会」と「自由民主党東京都第10選挙区支部」があったが、若狭議員が自民党を離党したため後者は解散している。別に代替の関係にあるわけではないが、自民党の支部の代わりに「日本ファーストの会」が若狭議員の政治団体として加わったと考えれば分かりやすいだろうか。