―― 人工知能(AI)などのテクノロジーはどう活用していくのか。

現在、3つの取り組みを進めている。1点目は、お客さまに対する新たな価値提供。すでに、政府・日銀が発行する経済・金融に関する文書をAIで解析・指数化した「野村AI景況感指数」や、機関投資家向け自動取引システムに個別銘柄の5分後の株価を予測するAIを導入するなどしている。2点目は業務プロセスの効率化。お客さまと向き合う時間を増やすため、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入して業務の効率化を進める。3点目は外部の知見の導入。テクノロジーの進化のスピードは速く、社内だけでは対応に限界がある。そこで、社会課題の解決プランをスタートアップ企業から募集して共同開発を行う「野村アクセラレータープログラム」を実施するなどオープンイノベーションを推進する。

―― 営業の組織体制も変更した。

お客さま本位の営業をさらに推進するため、長年続いてきた地区制(※)を今年度から廃止し、各支店がお客さまと向き合い、戦略を独自に考える体制にした。社員には、自分たちで考え行動していくことに、面白みと責任の重さを感じながら取り組んでほしいと考えている。

※野村証券では、これまで全国の支店を6つの地区に分け、それぞれの地区を担当する役員が営業を主導してきた。今年4月からは地区制を廃止し、支店の権限を強化している。20年ぶりの大幅な組織改編という。

野村證券代表執行役社長 森田敏夫
1961年、鳥取県生まれ。85年同志社大学商学部卒業後、野村證券入社。2010年常務、12年専務、16年副社長などを経て、17年4月より現職。
(構成=増田忠英 撮影=向井 渉)
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