順番待ちのため甲子園球場に寝袋で野宿

自由席なのだから、最初に並んだ人から優先になる。ルールは守っているが、「徹夜」での順番待ちでは、トラブルとも無縁ではない。長年、グループの様子をみているというあるスポーツジャーナリストはこう話す。

「甲子園球場は『徹夜での順番待ち』を禁止しているわけではありません。決勝戦などでは数百人が『徹夜待ち』をしていることもあります。ただ、『徹夜はご遠慮ください』と書かれた看板もあり、マナー違反です。寝袋持参で毎日開門待ちをしている様子は、高校野球のイメージを損ねていると思います」

またグループでは、その日の最終試合が始まる頃には、ローテーションで決まった「当番」が翌日第1試合のために並び始める。グループで「ネット裏」という「特等席」を占拠していることには、批判も多い。

特等席は年間で「1席65万円」

「ネット裏」にはどれだけの価値があるのだろうか。甲子園球場でプロ野球の年間シートを購入した場合、ネット裏の「TOSHIBAシート」は1席65万円だ。甲子園での阪神タイガースの主催試合は62試合なので、1試合あたり約1万円となる。

バックネット裏の「TOSHIBAシート」からの眺め。阪神甲子園球場のウェブサイトでは各座席からグラウンドがどう見えるかを確認できる。(阪神甲子園球場のウェブサイトより)

一方、甲子園での高校野球は、春が31試合、夏が48試合なので、合計79試合。試合数はプロより多い。試合を行う日数は、春が12日間で、夏は14日間。それぞれ「中央特別自由席」は1日2000円なので、チケット代は春2万4000円と夏2万8000円で、合計5万2000円となる。試合数で単純に割ると、1試合あたり658円だ。