いよいよ「夏の甲子園」も大詰め。テレビで試合をみていると、ネット裏の特等席に少年野球チームが座っているのがわかる。しかし、少し前までその特等席には「ほぼ毎日毎試合同じメンバー」が座っていたことをご存じだろうか。彼らは、どこへ行ったのか――。
大詰めを迎えた「夏の甲子園」。(日本高等学校野球連盟のウェブサイトより)

甲子園ネット裏の特等席を“占拠”した人々

残すところ明日の決勝戦だけとなった、夏の甲子園(第99回全国高校野球選手権大会)。熱戦が繰り広げられている阪神甲子園球場のバックネット裏に、そろいのユニフォームを着た子どもたちの集団がいることにお気付きだろうか。

これは2016年の春のセンバツ(第88回選抜高校野球)から、バックネット裏の最前席周辺の約100席を「ドリームシート」として、少年野球の子どもたちを招待することになったからだ。

そして、その結果、割を食うことになった大人たちがいる。「8号門クラブ」という常連観戦者のグループだ。

「8号門クラブ」の面々は何者なのか?

「8号門クラブ」とは、蛍光イエローの帽子にラグビージャージを着た「ラガーさん」と呼ばれる人物をはじめとする高校野球ファンのグループである。

特異なのは「毎年同じ席に座っている」という点だ。高校野球の場合、甲子園では一部のボックス席・マス席など指定席を除き、ネット裏の最前席を含めその多くは自由席だ。それにもかかわらず、ほぼ毎日、毎試合、同じ人が同じ場所に座っている。これが注目を集め、グループの中でも目立つ存在だったラガーさんは、テレビや雑誌にも取り上げられ、高校野球ファンの間では知られた存在になった。これまでに3冊の著書も出版している。

しかし、ある“理由”によって2016年春のセンバツ大会から、グループの姿は画面から消え、その代わりに「ドリームシート」に座る野球少年たちが写り込むようになったのだ。