そして、最近、同社がリチーミングを積極的に展開し始めたのが、約2500人いる全グループの社員のうち、半数以上を占めるようになったベトナム人社員である。昨年10月に設計の図面作成や見積もりなどを請け負うベトナムのオレオ・CSD社で、課長職以上の18人の幹部社員を対象にリチーミングの研修を実施した。「ベトナム人はメンタルな部分を大切にし、リチーミングの考えがフィットすると判断したからです。以前の人事評価は○×だけの評価で終わっていたのですが、『ここまでの成果をあげている』など、部下のプラスの面を自発的に評価するようになりました。その結果、280人いる社内スタッフのモチベーションがアップし、売上高も前年比20%以上の伸びを示しています」とオレオ・CSD社社長の三浦秀平さんは語る。

(左)ベトナムで幹部社員向けにリチーミングの研修を始めたオレオ・CSD社の三浦秀平社長。(右)ベトナムの現地スタッフが日本語で直接やりとりできるのが理想と語るヴォ・ティ・キン・ロックさん。

実は、日本の顧客とベトナムの現場とのつなぎ役として、ベトナム人社員が三谷産業の東京本社内にある日本支店に駐在しており、その一人が駐在歴6年になるヴォ・ティ・キン・ロックさんだ。ロックさんは進捗状況の報告や改善提案などキメの細かい仕事ぶりで、担当する主要顧客の建材会社からの信頼も厚い。

ロックさんはリチーミング研修を受けていないのだが、「現地スタッフが直接お客さまと日本語でやり取りできるのが理想の姿で、メールで伝える内容が形式的なものをテンプレート化したりしてサポートしています」と話す。どうやら日本支店で働くうちに、リチーミングの取り組みが自然と身に付いたようだ。三谷さんは「今後、8社あるベトナムの現地法人のすべてで、リチーミング研修を展開していく考えです」という。

(撮影=加々美義人、宇佐見利明)
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