現在の担当先の多くは、以前誰かが新規開拓してきた得意先です。ということは、現在の売り上げの一部は、何年か、何十年か前に、苦労してその得意先を開拓した営業マンの成果であるとも考えられます。したがって、すぐに大きな実績にはつながらなかったとしても、新規の顧客を開拓することや、顧客に新しい商品を販売することも、ルートセールスの営業マンにとって必要な成果と言えるでしょう。
つまり自分の年収を増やすためには、必要な担当売上高を確保するだけでなく、売上高を引き上げていくことが重要になるのです。
IT企業のSEなら稼ぎはいくらか?
一方、ソフトウエアを受託開発しているIT企業のSE職ならばどうでしょう。
年間売上高10億円、社員数100人、うちSE職80人のIT企業。仮に、外注比率がゼロだとすれば、売上高10億円のすべてが、社内での付加価値高ということになります。IT企業の場合、一般的に設備投資額が大きくないため、労働分配率はやや高めでも、利益を確保することができます。製造業だと工場、小売業なら店舗などが必要ですが、ソフトウエア業の設備投資といえば、オフィスとパソコンくらいだからです。
仮に、この会社の適正労働分配率を60%とすると、年収500万円のSE職が稼ぎ出さないといけない、必要な売上高は以下のようになります。
必要売上高=年収500万円×125%(年収に対する人件費)÷80%(SE職比率)
÷60%(適正労働分配率)÷100%(付加価値率)≒1302万円
年収に対して、約2.6倍(=1302万円÷500万円)の売上高が必要になります。通常、ソフトウエア開発は複数名で取り組むケースが多く、個人ごとの売上高まで管理している会社はまれです。しかしながら、頭数で割ると、以上のような値となるのです。
一方、客先派遣が中心のIT企業であれば、どうでしょう。オフィスやパソコンなどの投資も不要もしくは軽微なため、もう少し低い売上高でも成立します。それでも、年収の1.5~2.0倍程度は、必要ということになります。
総務や経理といった間接部門については、直接売上高をあげるわけではないので、以上のような計算は成立しません。しかし、部門を1つの社内サービス会社と見立ててれみればどうでしょう。そうすれば、外部のアウトソーシング会社との、コスト面、サービス面の比較ができます。
こんな分析を、会社が実施するより先に自らが行うことで、会社にとって貢献度の高い人材になるためのヒントが見つかるのではないでしょうか。