「今この瞬間」に一心不乱になる生き方
「今を生きる」という言葉は、人生の智慧の結晶であると私は感じています。その言葉の意味を表面的な字面だけで受け取っても本当の意味をつかむことはできません。私は座禅を組みにお寺へ定期的に行きますが、座禅とはそもそも今を生きる心の状態なのだと知りました。
座禅を組むときは1回1回の吸って吐く呼吸に集中し、お経を読むときは目の前の文字と発声に集中します。座禅後にお聞きする住職のお話も、「一日一生」つまり今を一生懸命に生きる、目の前のこと1つに集中する心の状態をつくることの大切さであることが多いです。
家族とご飯を食べるとき、子どもと遊ぶとき、仕事をするとき……どの瞬間も「今この瞬間ゾーン」に入って一心不乱になる生き方が豊かさを高めてくれます。まったく同じことが仕事のしかたに関しても言えます。同時進行的に2つ、3つの仕事をしていると注意散漫になってしまいますが、「今は◯◯の時間」と決めて、それに注力するほうが成果は高まります。そうした時間配分を、私は顧客である多くのビジネスパーソンや経営者にアドバイスしてきました。
講演で、高田さんのような企業経営者が私と同じ考えを共有していることを知り、「今ここに集中する」ことの重要性を再確認できました。「今を生きる」は、まさしく人生と仕事の智慧なのです。
「1つの根本的な問題にフォーカスして考えること」
【高田明さんの習慣力2:「シンプルに考える」習慣】
長崎の小さなカメラ店から身を興し、テレビショッピングの草分けとして絶対的な地位を築いた「ジャパネットたかた」ですが、その過程は苦難・難題の連続だったと高田さんは語ります。
当初は、在京のキーテレビ局はおろか地方局に打診しても、簡単にテレビショッピングを放映する枠はもらえない。まして全国放送など夢のまた夢。今では当然のことでも、前例のない時代はさまざま障壁を乗り越えなければならなかったと高田さんは、こう言います。
「経営の問題はシンプルに考えることが大事です。20の問題があるように見えても、それは表層的に捉えた場合であって、実はその深層にある1つの問題を解けばそれで後は全て解決することも多い。残り19の問題を解決する労力をたった1つの根本的な問題にフォーカスして考えること。その1つを見抜くにはシンプルに考えることだ」
実はこのことは習慣化のメソッドでも同じことが言えます。