原因を理解するだけで、怒りはかなり鎮火できる
怒りの本質に向き合うと、見えてくるのは自分の未熟さや身勝手さだ。
ヒステリックに声を荒立てるのは、自分の思い通りにしようと子どもを脅しているにすぎないとわかる。わかれば、申し訳ないという気持ちになる。片田先生は言う。
「自分が何に怒っているのか、きちんと理解できるだけで暴発はかなりの部分で防げるのです。逆に言うと、表面的には穏やかに見えるけど内心は怒っているというタイプの人も、無意識に自分の怒りから目をそらしているので、同様に問題を抱えやすい。怒りが頭痛や吐き気などの身体症状として出ます。あるいは、意図しているのか、いないのかはわかりませんが、やるべきことをしないとか、相手が困るようなミスをするという形で怒りを出すこともあります。こうした方法も人間関係を壊し、結局自分に返ってきます」
「ごめん、ママ、かなり怒ってる。ぶち切れて鬼になると思う」
豊田議員がキレたのは、元秘書の男性が必要な資料を用意しなかったり、バースデーカードの宛先を誤って送ったりしたことが原因だったと伝えられている。もしかしたら、こうしたミスも本当は元秘書の抑え込まれた怒りによって、起こったことかもしれない。いずれにしても、豊田議員が自分の「怒り」に真摯に向き合って我が身を振り返り、罵倒された相手の「怒り」に気づいたりすることができれば、このようなことにはならなかったのではないかと思う。
私は片田先生への取材直後、深く反省した。ところが、少し時間がたち、子どもが言うことを聞いてくれない状況が訪れると、相変わらず怒ってしまう。カッとなってしまう。自己嫌悪してしまうが、それでも以前よりは、怒りを意識できるようになったと思う。次のように予告できるようになったからだ。
「ごめん、ママ、いま、かなり怒ってきている。あと3回言っても聞いてくれなかったら、ぶち切れて鬼になると思う」
すると、「鬼は勘弁」とそそくさと動いてくれる子どもたちだ。
今回取材した特集ページ「わかっているけど怒ってしまう人のために お受験中の母が絶対叱らないための10の方法」では、片田先生のほかに幼児教室のメリーランド教育研究所の大野啓子所長に話を伺った。「怒りを上手にコントロールできた親は、小学校受験で合格を引き寄せられる」と大野所長。理想論でない、使えるテクニック満載だ。ぜひ、お手にとってご覧いただきたい。