条例提案を活発化する人材を発掘

都議会議員は、選挙期間中には平身低頭で回るものですが、いざ当選すれば任期中は安泰です。いつ解散があるかわからない衆議院議員とは心理的にも異なります。当選した瞬間から「議員先生」として胡座をかく人もいます。

それを象徴するのが、議員提出で制定された政策条例の極端な少なさです。ここ25年間ではたった1件しか見られないということは、前回(http://president.jp/articles/-/22292)すでにお話しした通りです。都議会で制定される条例は9割以上が知事提出議案。

もっとも、これは国政も似たような状況にあります。法律案は通常、内閣提出法案が圧倒的に多く、議員の発議により成立した法律は「議員立法」と呼ばれ区別されます。ここ数年の法律案の提出、成立件数を見てみますと、たとえば第189回国会(2015年)では、内閣提出法律案の成立件数が66件に対し、議員立法は12件、第183回(13年)は、63件対10件という比率になっています。法案に関しては、内閣提出法案が優先的に審議されやすい傾向があり、議員立法はそのまま廃案もしくは継続審議になることが多いことも背景にあります。

「議会のダイバーシティ」目指す

都議会は、行政のチェック役という受動的な役割だけでなく、もっと能動的に議員による条例提案を増やすことで議会改革につながります。地方によっては、議員提出の政策条例が活発に出されるようになりました。行政からは出てこない、議員ならではの条例を積極的に提案していく意欲溢れる人材を、都議会も求めています。

「都民ファーストの会」の候補者は現在48人。そのうち35%の17人は女性候補者です。男性視点ばかりではなく、生活者に近い議論や提案を期待しています。また、公認会計士や税理士、行政書士、弁護士など、様々な専門分野で活躍してきた人物も多く、議員になった暁には、各分野のスペシャリストとして、日本の現状と世界の潮流を見極めながら都政を改革していけるのではないでしょうか。

目指すのは「議会のダイバーシティ」です。真に東京都を改革していく意欲を持つのは誰なのか、今回の選挙は都民による判断が如実に表れる絶好のチャンスだと考えています。

小池百合子(こいけ・ゆりこ)
1952年生まれ。カイロ大学文学部社会学科卒業。テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』などでキャスターとして活躍。92年政界に転身し、環境大臣、防衛大臣などを歴任。2016年、東京都知事に就任。
(構成=三浦愛美 撮影=原 貴彦 写真=読売新聞/AFLO)
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