―プロ野球球団の買収では最初にライブドアが手を挙げたものの果たせず、後発の孫さんがホークスを買収しました。孫さんがプロ野球に参入できて、堀江さんができなかったのはなぜでしょう。

堀江 1つは資金力。あとは、僕と違って孫さんは嫌われないんじゃないでしょうか。おっちゃんだし。イケメンで髪フサフサの30歳だったら無理だったんじゃないかな、嫉妬されて。孫さんは立派なことしか言わないし、苦労話もいっぱいする。苦労しているおっちゃんはあまり嫌われないよね。世間からは「血のにじむような努力をしないとああいうふうにはなれないんだ……」とか思われて。

そういったところって、物事をスムーズに進めていくうえで結構大事だったりするみたいですね。でも、僕は自分の苦労話とかするのは嫌なんですけど。だって格好悪いじゃん。別に孫さんを批判しているわけではないですよ。彼はそういうことを自然にできる人だと思いますし、そのほうが得なんじゃないでしょうか。

ただ、僕にはそれができないんです。

あと、ある意味、孫さんの経営はすごくオーソドックスだと思う。孫さんがトップとしてITのことがわかっているだけで、ものすごいアドバンテージがあるわけですよ。同業の大企業経営者はわかっていない人が多いですから。

時期もよかった。孫さんが会社をつくったのは、僕の起業より15年くらい前ですね。世界的に見ればビル・ゲイツもスティーブ・ジョブズも同じ世代。あの頃にITを始めた人たちは、そこそこの能力があれば大体うまくいっている。焦りすぎないで、オーバーバリューくらいの値段をかければどんな会社でも買える。