任期は分割して捉え、各期を全うす
さて、都知事の任期は4年です。1年目はこれまでの見直し、課題の整理、次の年への仕込みをする時期です。
以前、環境大臣を務めたときに感じたのですが、1年目というのは様子見の時期なんです。私も周囲の様子を見るし、職員も新しいトップの様子を窺う。それが2年目に入ると、「ああ、この人はしばらくここにいるんだな」と観念するみたいで(笑)、前向きに作業に集中してくれるようになります。3年目になるとその関係性がより深くなり、職員とも意思疎通が上手にとれるようになる。それぞれのいい部分を引き出せるようになります。
環境省を去るときに職員が書いてくれた寄せ書きを見るといまだに涙が出てきます。そうやって一緒に働いた同志が、今度は中堅、トップとなり、新たに組織を率いて社会はまわっていくのでしょう。
先日、小泉元首相とお会いした際、「小池さんは次のことなんか考えちゃだめだ」という言葉をいただきました。任期を全うし、力を出し尽くすことを目指せというエールを頂戴したわけです。もっともこの日は、同じ料亭に安倍晋三首相も偶然いらしており、メディアに流れていろんな憶測を呼んでしまいましたけど(笑)。
また、4月には米国タイム誌による「世界で最も影響のある100人」の中に光栄にも選んでいただきました。この栄誉に恥じないよう、都知事2年目に向けて邁進していきたいと思っています。
1952年生まれ。カイロ大学文学部社会学科卒業。テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』などでキャスターとして活躍。92年政界に転身し、環境大臣、防衛大臣などを歴任。2016年、東京都知事に就任。