同僚が休んだ理由を顧客に話すのはNG

今回、規制強化されるのが人種、信条、病歴、犯歴などの「要配慮個人情報」だ。これらの情報は以前から個人情報として保護されてきた。しかし今回の改正で、今後はとくに慎重な取り扱いが求められるようになり、本人の同意なく取得することや、第三者に提供することが禁じられた。

禁止はあたりまえにも思えるが、じつは無意識のうちに要配慮個人情報を外に話してしまうシーンは珍しくない。

「同僚がインフルエンザで会社を休んだとします。同僚あてに顧客から電話がかかってきたとき、『インフルエンザで休んでます』と答えると、個人情報保護違反のおそれあり。インフルエンザに罹患中という情報は、立派な病歴情報。また顧客だけでなく社員の情報も個人情報です」

部下から「母が入院したので休みます」といわれて、上司が記録したりするのもグレーだ。会社が、部下の母の同意なく病歴を取得することになるからだ。もともと法律上、有休の理由を聞く必要はない。何も言わず休ませるのも賢明だろう。

(答えていただいた人=弁護士 影島広泰 図版作成=大橋昭一)
関連記事
マイナンバーを人に教えると、プライバシーはどこまでバレる?
「ポケモンGO」で自分の居場所が他人に知られたら
従業員の「マイナンバー」漏えい対策、会社は何をするべきか
免許証、保険証、戸籍……マイナンバー「紐付け」用途拡大はどこまで進むか
税務署に「痛くもない腹」を探られない方法